魔法界の基幹通信インフラを担うふくろう便の仕組みには、マグル(非魔法族)の郵便制度とは根本的に異なる神秘的なメカニズムが働いています。
魔法界のフクロウたちは、送り先の手紙に「明確な住所」が書かれていなくても、受取人の名前さえ記されていれば世界中どこへでも手紙を届ける特殊な追跡魔力を生来備えています。受取人が身を隠す魔法を使っていない限り、たとえ逃亡中のシリウス・ブラックのように居場所が秘密にされている人物であっても、その居所を嗅ぎ当てることが可能です。極秘潜伏中の魔女や魔法使いに手紙を送る際、居場所が漏洩するリスクを警戒してフクロウの使用を禁じる描写があるのはこのためです。
ホグワーツ城の西側にそびえる高塔に設置されているのがホグワーツのふくろう小屋(アウラリー)です。生徒が個人所有するヘドウィグなどのペットはもちろんのこと、フクロウを所有していない生徒でも自由に手紙を出せるよう、学校備え付けのフクロウたちが無数に常駐しています。
ファンタジックで優雅なイメージを抱かれがちなふくろう小屋ですが、原作における描写は極めて生々しいリアリティに満ちています。塔の内部は吹きさらしで冬場は極寒となり、床一面には藁とともにフクロウたちの糞(グアノ)や、吐き出されたネズミの骨のペレットが散乱しています。映画でもハリーがチョウ・チャンにダンスパーティーの誘いを持ちかける切ない青春の舞台として登場しますが、原作通りの過酷な環境を意識して観賞すると、魔法界の日常がいかに泥臭く地に足のついたものであるかが実感できます。