黒留袖風の振袖を優雅に着こなし、髪に扇子をあしらった艶やかなビジュアルから、初見で少女だと確信した読者は少なくありません。ネット上でも「カルトは本当は女の子なのではないか」という疑問が絶えず検索され続けています。しかし、集英社発行の公式データブック『HUNTER×HUNTER ハンターズ・ガイド』におけるゾルディック家家系図には、明確に「五男」と記載されています。
ゾルディック家の子供たちは、上からイルミ、ミルキ、キルア、アルカ、カルトの5人兄弟です。作中で父親のシルバや祖父のゼノが子供たちを指す際、一貫して「息子たち」という文脈で語られており、生物学的および戸籍上の性別が男性である点に疑いの余地はありません。作中人物のセリフや執事たちの言動を細かく精査しても、彼を公式に女性として扱っている場面は存在しないのが事実です。
それではなぜ、カルトは徹底して少女のような和装を強いられ、あるいは自ら身にまとっているのでしょうか。その核心には、母親であるキキョウとの特異な関係性が深く横たわっています。
パプアニューギニアの流星街出身である母キキョウは、長男イルミや三男キルアに対して過剰な執着と狂気的な愛情を注いできました。とりわけ後継者として類まれな資質を持つキルアが母の支配を拒絶し、家出同然で外の世界へ飛び出した事件は、キキョウの精神に激震をもたらしました。キキョウの傍らに常に影のように侍り、母の意向に忠実に従ってきた末子のカルトは、情緒不安定な母の人形・愛玩対象としての役割を無意識に引き受けざるを得なかったと読み解くことができます。