ハンドスピナーが「病気のために開発された」と語られる最大の要因は、1990年代に原型を考案したアメリカ人女性、キャサリン・ヘッティンガー(Catherine Hettinger)氏のエピソードに端を発します。
彼女自身が筋肉の力が弱まる指定難病「重症筋無力症」を患っており、幼い娘と一緒に遊ぶ体力がなかったことから、「最小限の手指の力で回して遊べるおもちゃ」として考案したのが最初のプロトタイプでした。この温かい誕生秘話がのちにメディアで紹介された際、いつの間にか「自閉症児の感情をコントロールするための医療器具として開発された」という話へとすり替わり、一人歩きを始めてしまったのです。
さらに、ヘッティンガー氏が取得していた特許は費用の問題で2005年に失効しており、2017年の世界的ブーム時に流通した製品は、本来の意図とは異なる文脈で利益優先のプロモーションが行われていました。