SNSや健康相談プラットフォーム上では、「何年もこの鼻炎に苦しんでいる」「点鼻薬が手放せない」という切実な声が数多く見受けられます。なぜ、多くの患者が出口の見えない泥沼に陥ってしまうのでしょうか。
血管運動性鼻炎が治らない理由の筆頭に挙げられるのが、ドラッグストアで手軽に購入できる市販の血管収縮性点鼻薬(ナファゾリン塩酸塩やオキシメタゾリン塩酸塩などを含む製品)への依存です。
鼻づまりがつらいとき、血管収縮薬をスプレーすると、わずか数分で鼻粘膜の血管がぎゅっと縮み、劇的に鼻の通りが良くなります。この即効性に依存して1日に何回も、さらには何週間も連続して使用し続けると、薬効が切れた際の反跳現象(リバウンド)によって血管が以前よりも太く拡張するようになります。これこそが、耳鼻咽喉科医が最も警戒する「薬剤性鼻炎」のメカニズムです。
粘膜の線毛運動が破壊され、慢性的な肥厚状態に陥ると、市販薬はおろか処方薬すら効きにくくなります。もし効果的な市販点鼻薬を選ぶのであれば、血管収縮剤が無配合の「点鼻ステロイド薬」(フルチカゾンプロピオン酸エステルやベクロメタゾンプロピオン酸エステルなどを含む製品)を選択するのが鉄則です。局所ステロイドは血管を無理に縮めるのではなく、鼻粘膜の神経過敏と浮腫を根本から穏やかに鎮静させるため、反跳現象を起こすリスクが極めて低く安全に使用できます。