日本国内の店舗でノースフェイスのダウンジャケットを購入しようとすると、5万円から8万円前後の予算が必要になるケースが一般的です。しかし、韓国の店頭や並行輸入サイトでは、同等クラスのアウターが2万円台から3万円台で購入できる例が珍しくありません。「偽物だから安いのではないか」と疑われがちですが、この価格差には明確なアパレル産業上の理由が存在します。
第1の要因は、過剰スペックの排除と素材の最適化です。日本のゴールドウイン製品は、高価格な「GORE-TEX(ゴアテックス)」や遠赤外線効果を持つ「光電子ダウン」など、最高峰のハイテク素材をふんだんに投入しています。一方、韓国ホワイトレーベルは、タウンユースで必要十分な自社透湿防水素材「DRYVENT(ドライベント)」や、保温性に優れたエコダウン「T-BALL(人工中綿)」、あるいは国際基準を満たした「RDS認証ダックダウン」を主軸に採用しています。日常の防寒において十分な性能を保ちつつ、原価を大幅に抑える設計が施されています。
第2の要因は、ヤングワンアウトドアの巨大な自社生産背景です。親会社であるヤングワングループは、世界的なアウトドアブランドのOEM生産を一手に引き受ける巨大グローバルサプライヤーです。自社工場での大規模一括生産により、資材調達から縫製に至る中間マージンを極小化し、圧倒的なスケールメリットを生み出しています。
第3の要因は、現地韓国におけるマーケット戦略です。韓国では冬場の厳しい寒さもあり、学生からシニア層までダウンジャケットの着用率が極めて高く、国民的な消費財となっています。薄利多売のビジネスモデルが成立するため、日本の高級アウトドア路線とは異なり、若者が手軽に購入できるプライシングが戦略的に維持されています。