「韓国の苗字種類数は日本に比べて極端に少なく、250〜300種類程度しかない」という話は、インターネット上でも頻繁に語られる有名なトピックです。統計庁の分類基準で見ると、帰化者の新しい苗字を除いた伝統的固有姓は約288種類にとどまり、この噂は紛れもない事実です。
では、同じ「金さん」同士は全員が親戚なのかというと、決してそうではありません。ここで極めて重要な役割を果たすのが本貫制度の歴史です。
本貫(ポンガン)とは、その氏族の始祖が発祥した「本拠地(土地の名)」を指します。韓国人のアイデンティティにおいて、苗字と本貫は常にセットで扱われます。
- 金海金氏(キメ・キムシ):伽耶国の首露王を始祖とする韓国最大の氏族(約440万人以上)。
- 慶州金氏(キョンジュ・キムシ):新羅王室の金アルジを始祖とする名門(約180万人以上)。
- 全州李氏(チョンジュ・イシ):朝鮮王朝の創始者・李成桂をルーツとする王族系(約260万人以上)。
- 密陽朴氏(ミリャン・パクシ):新羅の朴赫居世(パク・ヒョッコセ)の流れを汲む最大派閥(約310万人以上)。
たとえ同じ「金さん」であっても、金海金氏と慶州金氏では始祖も歴史も全く異なるため、親戚関係にはありません。韓国では長年、民法第809条によって「同姓同本不婚(苗字と本貫が同じ者同士の結婚禁止)」が厳格に定められていました。この規定は憲法裁判所による違憲判断等を経て2005年に法改正され、現在は8親等以内の近親婚のみを禁止する規定へと近代化されています。