この場所を語る上で避けて通れないのが、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)の創業者である増田宗昭が掲げた「生活提案」の哲学だ。「本そのものを売るのではなく、本の中に描かれた豊かな生き方を提案する」という強烈な理念が、建築の隅々にまで息づいている。
ヴィジュアル・アイデンティティや空間の思想的基盤には、日本を代表するグラフィックデザイナー原研哉の息吹が感じられる。無駄を極限まで削ぎ落としながらもどこか温もりを宿すタイポグラフィ、目線の高さを綿密に計算した書架のグリッド、外界の光を柔らかく取り込む建築構造。それらすべてが有機的に結びつき、訪れる者に「長居したくなる心地よさ」を無意識のうちに刷り込んでいく。