改名以前の海砂利水魚を語る上で欠かせないのが、1990年代半ばに社会現象を巻き起こしたフジテレビ系ネタ番組『タモリのボキャブラ天国』シリーズです。爆笑問題、ネプチューン、フォークダンスDE成子坂らとしのぎを削ったこの番組で、海砂利水魚に与えられたキャッチコピーは「邪悪なお兄さん」でした。
当時の海砂利水魚ネタは、上田のシャープで切れ味鋭い突っ込みと、有田の不気味かつナンセンスなボケが絡み合う、極めて構築度の高いコントが中心でした。知的で少し意地悪な雰囲気を漂わせる芸風は若者層から熱狂的な支持を集め、「ボキャブラの看板コンビ」として不動の評価を得ていました。
しかし、ボキャブラブームが終焉を迎えると、番組出身の芸人たちは一斉に「ボキャブラショック」と呼ばれる深刻な露出減少に直面します。SNSや過去の掲示板アーカイブを振り返ると、当時のファンからは「ネタは飛び抜けて面白いのに、硬派すぎてバラエティ番組のひな壇に馴染めていない」「上田の理屈っぽさと有田のアクの強さが、昼やゴールデンの番組では使いにくそう」といったリアルな声が寄せられていました。
ネタの評価は極めて高いにもかかわらず、平場のトーク番組でその実力を発揮する機会に恵まれない。そんな閉塞感の中で訪れたのが、あの改名劇だったのです。