名物である鹿せんべいは、米ぬかと小麦粉のみで作られたシカ専用の栄養食だ。人間が食べる菓子類やビニール袋、プラスチック容器などを絶対に与えてはならない。観光客が与えるせんべいは彼らにとって人気のおやつだが、主食はあくまで敷地内に生息する自然の草木だ。
現在、急回復を遂げるインバウンド観光産業の波を受け、現地は連日世界各国からの旅行者で溢れかえっている。「お辞儀をするシカ」との触れ合いはSNSを通じて世界中に拡散され、観光消費を強力に牽引する一方で、過剰な混雑やゴミのポイ捨て問題といった新たな課題も生み出している。経済的恩恵と環境保護の調和をいかに保つかが、いま現場に突きつけられたテーマとなっている。