略式起訴による罰金刑であっても、刑罰である以上は一生涯消えない「前科」となります。国家資格の剥奪や会社の就業規則による懲戒解雇など、社会的信用への打撃は計り知れません。この前科を回避する唯一の道が、検察官による起訴判断の前に「不起訴処分」を勝ち取ることです。
不起訴を獲得する上で決定的な影響力を持つのが、被害者との間で成立する示談(示談交渉)です。示談書の中に「加害者を許す」「厳しい刑事処罰を望まない」旨の【宥恕(ゆうじょ)条項】を盛り込むことができれば、検察官が起訴猶予とする可能性は飛躍的に高まります。
人身事故における示談金の相場は、治療費・休業損害・通院慰謝料などを含めて任意保険(対人賠償)から支払われる損害賠償金がベースとなります。しかし、刑事処分軽減のための宥恕を取り付けるには、保険会社任せの機械的な対応だけでは不十分です。加害者本人の真摯な謝罪文に加え、保険金とは別に「迷惑料・お見舞金」として10万円〜50万円程度の自腹金を上乗せして誠意を示す実務対応が効果を発揮します。
被害者感情が激高している場合、加害者本人や保険会社の担当者との接触を拒否されるケースが珍しくありません。刑事事件の経験が豊富な弁護士が代理人として間に入ることで、被害者の心情に配慮しながら冷静な示談交渉を進め、起訴前のタイムリミット内に合意をまとめ上げることが可能になります。