中央広間の四隅に立つ銅像を見上げる。初代内閣総理大臣の伊藤博文、大日本帝国憲法発布時の大蔵大臣・松方正義、板垣退助。そして、あえて像を置かずに台座だけが残された「四つ目の角」は、未完の議会制民主主義を象徴する警告の空間だ。かつて「憲政の神様」と呼ばれ、議会政治の堕落を舌鋒鋭く批判し続けた尾崎行雄なら、この空白に何を思い浮かべるだろうか。
歴代の内閣総理大臣が組閣直後に記念撮影を行う大階段。足元に敷き詰められた深紅の絨毯は、一歩踏み込むごとに沈み込むような独特の厚みを持つ。数百人の議員が一斉に行き交う本会議の開会前、この赤い床の上で幾度となく繰り広げられてきた水面下の根回しと権謀術数。敷設された赤絨毯の総延長は約4キロメートルに及び、その上を歩く者たちの緊張感が張り詰めた空気を生み出している。