ネット上の情報や旅行記の中には、事実と異なる誤解や思い込みが散見されます。訪問前に知っておくことで見学の深みが格段に増す、3つの真相を整理します。
誤解①:「西洋の建物を忠実にコピーした洋館である」という誤解
旧開智学校は完全な洋風建築ではありません。柱や梁を組み上げる木骨構造、屋根の桟瓦葺き、白漆喰塗りなど、骨格と施工技術は完全に日本伝統の神社仏閣・城郭大工の技法です。その土台の上に西洋風の窓枠やバルコニー、タワーを融合させているからこそ「擬洋風」と呼ばれ、独自のアートピースとして世界的に高く評価されています。
誤解②:「明治時代からずっと現在の場所にあった」という誤解
現在の旧開智学校は、創建時の場所から移築されたものです。もともとは約300メートル南東の女鳥羽川(めとばがわ)のほとりに建っていました。昭和30年代、度重なる川の氾濫や都市計画道路の拡幅に伴い解体の危機に瀕しましたが、市民の保存運動が実を結び、昭和38年〜39年にかけて現在の開智公園隣接地へ丁寧に移築・復元されました。
誤解③:「早くに廃校となって観光施設になった」という誤解
旧開智学校は、明治9年の開校からなんと昭和38年(1963年)までの約90年間、現役の小学校校舎として松本の子どもたちが実際に学び舎として使い続けました。幾世代もの生徒たちが歩いたことで自然に丸みを帯びた階段の手すりや床の質感には、生きた歴史の重みが宿っています。