本作を語る上で避けて通れないのが、第33話「怪獣使いと少年」です。脚本・市川森一、監督・東條昭平という布陣で制作されたこのエピソードは、特撮番組の枠を完全に踏み越えた問題作であり、同時に最高峰の傑作として名作回の評判を不動のものにしています。
物語は、地球の風土調査に訪れたものの環境汚染で衰弱したメイツ星人(金山十郎)と、彼に命を救われ身寄りを失った少年・佐久間良の交流を軸に展開します。廃材置き場でひっそりと暮らす二人に対し、街の住民たちは「宇宙人ではないか」という疑心暗鬼と偏見から集団ヒステリーを起こし、激しい迫害を加えます。ついには無抵抗のメイツ星人を白昼堂々虐殺してしまい、星人の念力によって地中に封印されていた巨大怪獣ムルチが暴走を始めます。
激しい豪雨の中、身勝手な恐怖に怯え「ウルトラマン、怪獣を倒してくれ!」と懇願する群衆に対し、郷秀樹は激しい怒りを覚え、変身を拒否してその場を立ち去ろうとします。怪獣よりも恐ろしい人間のエゴと集団心理、そして差別意識を容赦なく暴き出したこの描写は、放映当時から物議を醸し、現代社会のあらゆる分断にも通じる重烈なメッセージを放ち続けています。