かつて「角界のプリンス」と称され、日本中を魅了した大関・貴ノ花利彰。父であり師匠でもあった彼の教えは、あまりにも過酷で、同時にどこまでも深い愛に満ちていた。稽古場では一輪の甘えも許さず、実の息子であっても一人の弟子として厳格に扱った。
血のつながりゆえの愛憎と、師弟としての絆。父の病魔と闘い、命の灯火が消えゆく中で家族が直面した究極の決断とは何だったのか。言葉ではなく背中で語り続けた父の思いと、息子の胸に刻まれた「相撲道への覚悟」。世間の喧騒から離れた場所で静かに紡がれたその真相は、時を経た今もなお強い光を放っている。