世界中で記録的な興行収入を叩き出し、日本映画の歴史を塗り替えた劇場版「鬼滅の刃」無限列車編。このメガヒット作が大陸本土の映画館で上映されることは最後まで叶わなかった。その背景に横たわっていたのが、中国のメディアコンテンツを統括する国家広播電視総局(NRTA)による極めて厳格な審査基準だ。
作品内に頻出する「鬼の首を切り落とす」という直接的な損壊描写や、おどろおどろしい流血シーンは、青少年保護や社会主義的道徳規範の維持を掲げる当局のレッドラインに真っ向から抵触した。配給側がどれほど修正や再編集を提案しても、許認可のプロセスは遅延を極めた。劇場公開のタイミングを完全に逸した苦い記憶は、製作委員会にとって大きな教訓となっている。