二人の関係性を語る上で最大のハイライトとなるのが、原作19巻・第163話「心あふれる」で描かれた死後の対話シーンです。カナヲと伊之助の連携によって頸を落とされ、肉体が崩壊していく童磨の前に現れたのは、すでに霊魂となった胡蝶しのぶでした。
人間の頃から感情が欠落し、神童と持て囃されながらも他者の喜びや悲しみを一切理解できなかった童磨。そんな彼が、自らの命を犠牲にしてまで自分を罠にハメ、完璧に欺き切ったしのぶの首を見つめた瞬間、生まれて初めて「胸の高鳴り」を覚えます。
「ねぇしのぶちゃん、俺と一緒に地獄へ行かない?」
童磨から飛び出したまさかのプロポーズ。しかし、しのぶは満面の笑みを浮かべたまま、一切の躊躇なくこう言い放ちました。
「とっととくたばれ糞野郎」
慈悲や共感の余地を一切与えず、冷徹に突き放すこの痛快な一言によって、童磨の歪んだ一方通行の求愛は完全に打ち砕かれました。感情を知った瞬間に地獄へと消え去る童磨と、役割を果たして仲間たちの元へ去っていくしのぶ。この幕切れこそが、読者に強烈なカタルシスを与えた名場面です。