原作者の吾峠呼世晴が描いた善逸の造形には、現代を生きる人々への強いメッセージが込められている。彼は何でもこなせる天才ではない。雷の呼吸の六つの型のうち、基本となる「壱ノ型」しか使えない落ちこぼれとして描かれていた。
「泣いてもいい、逃げてもいい、ただ諦めるな」。師匠であるブロッコリー頭のじいちゃん(桑島慈悟郎)の言葉を胸に、ただ一つの技を愚直に磨き続けた結果、彼は自ら新しい型を創り出すまでに至る。完璧ではない人間が、一つの強みを極限まで鍛え上げることで巨悪に立ち向かう生き様は、自己肯定感に悩む現代人の心に深く刺さるのだ。