鱗滝左近次という人物を語る上で欠かせないのが、彼が手塩にかけて育て上げた弟子たちとの絆です。特に、非業の死を遂げた錆兎(さびと)や真菰(まこも)をはじめとする孤児たちへの思いは、彼の人生に深い影を落としていました。
鱗滝は身寄りのない子どもたちを引き取り、我が子のように愛情を注いで育てていました。しかし、彼が最終選別へ送り出した愛弟子たちは、鱗滝への怨恨を募らせた手鬼の標的となり、次々と命を奪われていきます。大切な子どもたちを失うたびに、鱗滝の心は引き裂かれるような悲痛に苛まれていました。
炭治郎に対し、最終選別へ行かせまいと巨大な岩を斬るという極めて困難な課題を課したのも、「もう二度と子どもを死なせたくない」という切実な親心からでした。炭治郎が無事に最終選別から生還し、禰豆子とともに抱き合って涙を流した名シーンは、鬼殺隊の鬼教官ではなく、一人の慈愛に満ちた父親としての素顔が溢れ出た屈指の名場面です。