鬼殺隊の中で、玄弥は極めて異質な存在です。なぜなら彼は、鬼殺隊士の必須技能である「全集中の呼吸」を一切使えない体質だからです。剣士としての才能に恵まれない彼が選んだ戦術こそが、鬼の肉体を喰らうことで一時的に鬼の怪力と再生能力を得る「鬼喰い」でした。
玄弥が禁忌とも言える鬼喰いに手を染めた理由は、ただ一つ。「柱」となって兄・実弥に会い、かつて母を巡って兄に放ってしまった暴言を謝罪したかったからです。呼吸を使えない自分が鬼殺隊で生き残り、兄の元へ辿り着くための唯一の手段が、己の体を鬼に近づける危険な鬼喰いでした。岡本信彦さんは、この悲壮な覚悟と自己犠牲の精神を、セリフひとつひとつの重みとして見事に体現しています。