悲鳴嶼行冥の実力は、味方だけでなく強大な敵からも別格として評価されています。嘴平伊之助が初めて対面した際に「ビビるほど強い」「匂いからして他の奴と全然違う」と本能で察知したように、その実力は柱の間でも周知の事実でした。
その真価が遺憾なく発揮されたのが、無限城における上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)との死闘です。始まりの呼吸の剣士であり、数百年にわたり無数の柱を葬ってきた黒死牟は、悲鳴嶼と刃を交えた瞬間にその肉体を絶賛しました。
「極限まで練り上げられた肉体の完成形」「これほどの剣士を拝むのは三百年ぶり」——百戦錬磨の最強の鬼をして感嘆せしめたのは、悲鳴嶼が重ねてきた修練の凄まじさを物語っています。
悲鳴嶼は戦闘中に「痣(あざ)」を発現させただけでなく、相手の筋肉の動きや血流を透視して次の行動を予知する「透き通る世界」を感覚のみで体得。盲目というハンディキャップを完全に超越した超絶的な空間認識能力で、黒死牟の苛烈な斬撃の嵐を捌き切りました。