この不可解な仕掛けのルーツを辿ると、長野県北部の山間にある旧小学校校舎に行き着く。豪雪地帯の過疎村で、かつて絹織物工場で使われていた廃棄機械や古時計の残骸を拾い集め、奇妙な立体装置を組み立てていた数人の作り手たちがいた。
中心人物とされる男性は、取材に対して本名を明かそうとしない。「名前なんてどうでもいい。僕らがやっているのは作品づくりですらない。ただ、機械が死ぬ前の最後の呼吸を組み立て直しているだけだ」と、煤に汚れた作業着のままぶっきらぼうに呟いた。
彼らはインターネットを使った宣伝を一切拒んでいる。展示の告知は、都内数カ所の古着屋やレコード店の片隅にひっそりと置かれる、日付と緯度経度だけが印字された活版印刷のマッチ箱のみ。この頑ななまでのアナログ性が、かえって情報の裏街道を行くアンダーグラウンドな熱狂を生んだ。