ジャーの名を不滅にした最大の代表作が、1896年12月10日にパリのテアトル・ド・ルーヴルで初演された戯曲『ユビュ王(Ubu Roi)』です。幕が上がると同時に、貪欲と下劣と卑劣さを煮詰めた怪物的主人公ユビュ親父が放った第一声「Merdre!(メルドル!=くそったれ!の捩り語)」により、客席は怒号と歓声が入り乱れる大暴動へと発展しました。
伝統的なフランス演劇の優雅な形式美を真っ向から踏みにじったこの公演は、わずか2回の上演で打ち切られたものの、演劇史を不可逆的に変える決定打となりました。ジャーが遺した主要な作品一覧は、戯曲だけでなく先鋭的な小説や評論にまで及んでいます。
【アルフレッド・ジャーの主要作品一覧】
・『ユビュ王』(1896年):演劇界に革命をもたらしたグロテスク・コメディの金字塔。
・『縛られたユビュ』(1900年):自由を強制される社会の滑稽さを描いた続編戯曲。
・『フォーストロール博士の言行録』(1911年没後刊):パタフィジックスの全貌を体系化したネオ・サイエンティフィック小説。
・『超男性』(1902年):無限の性エネルギーと機械の対決を描いた先駆的SFサイコノベル。
これらの作品群に通底しているのは、徹底したパロディ精神と、近代合理主義の盲点を鋭くえぐる実験的な言語感覚です。