1978年に山口百恵へ提供された『いい日旅立ち』は、日本のポピュラー音楽における金字塔的傑作として語り継がれている。当時、日本国有鉄道(国鉄)による大規模な観光キャンペーンのタイアップソングとして制作依頼を受けた際、企業イメージと純粋な芸術性の高次元での融合が見事に果たされた。
哀愁を帯びた旋律と、日本の原風景を想起させる叙情的な詞世界は、レコードの枠を超えて日本人の旅情を激しくかき立てた。商業タイアップという枠組みを利用しながらも、決して妥協のない芸術作品を作り上げたこの成功例は、当時の音楽業界における楽曲制作の在り方を根本から変革することとなった。