戸塚ヨットスクール事件の波紋は、映像メディアの歴史にも色濃く刻まれている。1983年に制作されながら事件の表面化により長年公開延期となった映画『スパルタの海』は、当時の社会が彼に寄せた過剰な期待と恐怖の双方を象徴する作品だ。
一方で、出所後の戸塚とスクールの日常をカメラに収めた東海テレビ制作のドキュメンタリー映画『平成ジレンマ』は、彼を安易に悪魔化することも、英雄視することもしない多角的な視点を提供した。スクリーンに映し出されたのは、時代の変化に取り残されながらも頑なに持論を曲げない老人の姿と、そこに子供を託さざるを得ない親たちの切実な悲鳴だった。