手元の画面で向きを示す青い扇形。この挙動を司っているのは、端末に内蔵された電子コンパスとジャイロセンサー、そしてGPS(全地球測位システム)の精緻な連携だ。電子コンパスは地球の微弱な磁場(地磁気)を検知し、ジャイロセンサーが端末の回転速度を捉える。これに衛星からの測位データを掛け合わせることで、端末がどの方向を向いているかをリアルタイムで割り出している。
問題は、現代の都市空間が地磁気を乱すノイズに満ちている点にある。高層ビルの鉄骨、地下鉄の通風口、道路下の埋設配管、さらには電柱の変圧器。あらゆる人工物が磁場を歪ませる。スマートフォンがこの局所的な磁気異常に晒された瞬間、センサーは北を見失い、画面上のビームはあらぬ方向へと回転してしまう。さらに、スマホケースに仕込まれたマグネット留め具や磁気吸着アクセサリーも、センサーを狂わせる致命的な原因となる。