日本中央競馬会(JRA)が科す処分において、最も重い部類に入るのが一定期間の騎乗機会を奪う騎乗停止処分だ。かつてはレース中の不注意騎乗による他馬への斜行妨害が処分の理由の大半を占めていたが、近年はその質的変化が著しい。実重の加算や騎乗料の没収にとどまらず、開催日数をまたぐ実質的なペナルティが課される背景には、世界基準に合わせた「安全第一」の着差・走行妨害ルールの適用がある。
裁定の裏側では、降着・失格に至らないまでも、他馬の走路を妨げた危険なハンドリングに対して容赦のない判断が下されている。裁定の基準は明文化されているものの、加害馬と被害馬の動線、騎手のアクションの有無、回避措置のタイミングなど、極めて多角的な検証がなされる。最新の傾向として、単なる結果論ではなく「危険の芽を事前に摘まなかったこと」自体へのペナルティが増加しており、騎手にはこれまで以上の判断力とセルフコントロールが求められている。