いま捜査本部が最大の焦点を当てているのが、犯行の背景にある動機と組織的関与の有無だ。九州南部においては近年、指定暴力団の勢力再編や利権を巡る水面下の摩擦がささやかれて久しい。今回の手口――深夜に車両で乗り付け、標的の拠点に向けて複数発を発射して即座に離脱する――は、かつての抗争事件で頻見された典型的な威嚇・襲撃の手法と酷似している。
一方で、近年急増している「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」の関与を疑う声も捜査関係者の間から漏れ聞こえる。裏社会の秩序が崩壊し、従来のようなヤクザ組織の掟が通用しない若年層の犯罪集団が、金銭トラブルや制裁のために銃器を手にするケースが全国で散発しているからだ。暴力団の旧勢力による示威行為なのか、それとも制御不能な新興グループの暴走なのか。現場から採取された薬莢の施条痕(銃身のライフリング跡)の特定が、闇ルートで流通した銃の素性を暴く鍵となる。