多くの一般人が混同しやすいのが、「公安調査庁」と警察組織に属する「公安警察(警視庁公安部や各道府県警警備部公安課など)」の違いです。両者は対象とする脅威こそ重なる部分があるものの、組織体系、権限、そして行動原理において明確に分かれています。
最大の違いは「強制捜査権および逮捕権の有無」です。公安警察は警察官職務執行法や刑事訴訟法に基づき、令状による家宅捜索、通信傍受、被疑者の逮捕、取り調べを行う「法執行機関」です。拳銃などの武器携帯も認められています。
対して公安調査庁の公安調査官には、逮捕権も令状捜査権も拳銃の所持権も一切ありません。調査官の武器は、公開情報の徹底的な分析(OSINT)と、対象者や関係者との人間関係構築を通じて情報を得る「対人情報活動(HUMINT)」です。相手の合意を得た上での任意の事情聴取や現場視察を地道に積み重ねる調査手法をとる点が、強制力を行使する警察との最大の一線を画しています。