ここで英語コミュニケーションにおける極めて重要な注意点に触れておく必要があります。実は、1990年代以前の英語圏において、スポーツ界で「goat」と言えば「敗北の責任を負わされる戦犯・役立たず」というネガティブな意味で使われていました。
これは、聖書に由来する「scapegoat(スケープゴート=身代わりの生贄)」という言葉が短縮されたものであり、「試合をぶち壊した間抜け」を揶揄する侮蔑表現だったのです。例えば、決定的なエラーをしてチームを敗退させた選手に対し、「He is the goat of the game.(あいつが今日の戦犯だ)」と罵る使われ方をしていました。
現代では大文字で「GOAT」と書くかヤギの絵文字を添えれば「史上最高」と伝わりますが、冠詞や文脈には微妙なニュアンスの違いが存在します。
- the G.O.A.T.(またはGOAT):史上最高、歴代ナンバーワン(ポジティブな大絶賛)
- a goat / the scapegoat:戦犯、失敗の元凶、生贄(ネガティブな非難)
- GOATed(形容詞化スラング):「神がかっている」「最高峰の域に達している」状態を表す若者言葉
英語圏の類語としては「Legend(伝説)」「Icon(象徴)」「God tier(神ランク)」「Unmatched(並ぶ者なし)」などがありますが、その中でも「GOAT」は「歴代すべての頂点」という最もスケールの大きな意味合いを持ちます。