メディアで使われる「〜のようなもの」という慎重な表現は、バールだけに留まりません。事件報道を注意深く観察すると、警察の独特な報道慣用句が数多く存在します。
- 刃物のようなもの:包丁、カッターナイフ、ナタ、ハサミ、あるいは研いだ金属片のどれであるか確定していない状態を指す。
- 鈍器のようなもの:金属バット、木製角材、ハンマー、鉄パイプなど、殴打に使われた固い物体の総称。
- 拳銃のようなもの:本物の実銃なのか、モデルガン・エアガン・改造銃なのかの鑑定が終わっていない段階の表現。
- 白色の粉末のようなもの:覚醒剤、コカインなどの違法薬物か、単なる小麦粉や薬品か、簡易鑑定・本鑑定の結果が出る前の呼称。
これらはすべて、「予断(先入観)を排除して客観的な事実のみを伝える」という捜査機関とメディア双方の倫理規定に基づいています。曖昧に聞こえる表現こそが、法治国家における公正な裁判と正確な事実報道を担保するための防波堤となっているのです。