ウィリアム・ギロックの作品群において、『ガラスの靴』は学習者が「サロン風の洗練されたロマン派書法」に初めて触れるための決定的な名曲として位置づけられています。全音楽譜出版社から刊行されている標準版では『ギロック 叙情小曲集(Lyric Preludes in Romantic Style)』の第12曲に収録されており、同著者の代表作『ギロック こどものためのアルバム』よりも音彩の豊かさとペダルによる表現力が一歩進んだ位置づけです。
各種コンクールやステップにおける『ガラスの靴 ピアノ グレード目安』を精査すると、ピティナ・ピアノステップでは「基礎4〜応用2(初中級)」、ヤマハ学習者グレードでは「8級〜7級」、カワイ演奏グレードでは「8級〜7級」相当に設定されています。これはブルグミュラー25の練習曲でいえば『バラード』『紡ぎ歌』を無理なく弾きこなせる段階に該当します。
使用する楽譜に関しては、解説の正確さと学習者への導線を考えると全音版の『ギロック 叙情小曲集』(安川加寿子監修)が国内の定番です。一部の抜粋楽譜やピース譜ではギロック自身が指示した細かなアーティキュレーションやペダル標語、テンポ表示が簡略化されているケースも見受けられます。曲の全体像と調性の関係性を正しく把握するためにも、全曲集として手元に置き、前後の楽曲(『森の妖精』や『雪の日のソリのベル』など)と弾き比べる練習が豊かな音楽性を育みます。