富山の都市政策を語る上で欠かせないのが、世界的な評価を獲得した富山市コンパクトシティ構想です。公営企業と民間が一体となったLRT(次世代型路面電車)の南北接続ネットワークを軸に、公共交通沿線への居住誘導を進めてきた施策は、中心部の地価維持や歩行者通行量の増加という明確な果実を生み出しました。
しかし、2026年現在の地域住民の声を取材すると、光の裏にある濃い影が見えてきます。郊外住宅街や農村部に暮らす高齢者層からは、「路線バスの減便が相次ぎ、自家用車を返納したくても返納できない」「中心部ばかりに税金が投じられ、自分たちの住む地域の除雪や道路維持がおろそかになっている」といった不満が噴出しています。
都市の集約化は行政コスト削減の切り札とされる一方で、誘導区域外に暮らす住民への「移動の権利」をどう保障するのかという、公平性のジレンマに直面しているのが実情です。