金星を獲得すると、力士褒賞金の基準額が「10円」加算される。この10円という数字、一見すると微々たるものに思えるが、実際の支給額はこれを4000倍した額、つまり毎月の給与に4万円が上乗せされる仕組みだ。年間に直せば48万円。現役を長く続ければ続けるほど、この「金星ボーナス」はボディブロウのように効いてくる。
だが、問題は引退後だ。親方として協会に残らない限り、この褒賞金支給はピタリと止まる。つまり、角界を完全に離れる力士にとって、金星の経済的価値は「現役時代限定のボーナス」に過ぎないのだ。退職金(養老金)の計算には多少反映されるものの、それだけで引退後の数十年にわたる人生を支え切れるわけがない。ここに、多くのファンが勘違いしがちな「金星の罠」がある。