近年の脳科学研究も、若い時期における適度なストレス体験の重要性を後押ししている。脳の神経可塑性は、自らの能力を超える課題に立ち向かい、試行錯誤を繰り返すプロセスで最も活性化することが分かっている。
若年期に挫折やストレスを克服した経験を持つ人は、脳内の「レジリエンス(精神的回復力)」に関わる神経回路が強化される。将来、予測不能な巨大な危機に見舞われた際にも、パニックに陥らず冷静に対処できる耐性が身につくのだ。
最初からストレスをすべて排除したクリーンルームのような環境で育つと、一度の敗北や批判で心が折れてしまう「ガラスのメンタル」が形成されやすい。適度な負荷は、キャリアという長距離走を走り抜くための不可欠な予防接種と言える。