岐阜県各務原市蘇原申子町に位置し、広大な敷地と多彩な湯船を誇っていた「美人の湯 かかみがはら」。休日の駐車場は常に満車で、平日も常連客で賑わっていた同施設が営業終了を決断した背景には、温浴業界全体を揺るがす深刻な構造的課題がありました。
最大の要因として挙げられるのが、20年以上にわたる長期稼働に伴う基幹設備の老朽化です。ボイラー、濾過循環器、配管系統などの大規模改修には億単位の投資が必要となりますが、そこに直撃したのが世界的な重油・電気・ガス料金の記録的な高騰でした。温浴施設はエネルギー多消費型のビジネスモデルであり、客足が好調であってもランニングコストの急膨張が利益を圧迫します。
さらに、感染症流行期を経て利用者のライフスタイルが変化したことや、人手不足に伴う人件費の上昇が追い打ちをかけました。単に「客数が減ったから」という単純な理由ではなく、将来的な設備更新コストとエネルギー価格の上昇リスクを総合的に勘案した結果、事業継続は困難との経営判断が下されたのが真相です。