事態をさらに深刻化させているのが、X(旧Twitter)を中心とするソーシャルメディアの拡散力だ。事件直後から、モザイク処理すらされていないショッキングな現場映像や落下直前の様子を捉えた写真が瞬時に拡散される。数万件のリポストやインプレッションを獲得するために、凄惨な死が「コンテンツ」として消費されていく。
アルゴリズムによって刺激的な投稿が優先的にフィードに流れる仕組みは、精神的に不安定なユーザーを引きつけ、希死念慮のトリガーを引く「ウェルテル効果」をネット上で爆発的に誘発させる。従来のマスメディアが自死報道の国際的ガイドラインに従い、手段や場所の詳細を伏せる一方で、SNS上には歯止めなき生データが氾濫している。このデジタル空間における無制限な露出こそが、歌舞伎町という特定の記号化された場所に若者を引き寄せる負の引力となっている。