歌舞伎町ヤクザマンションの現在|噂の真相と潜入ルポで暴く家賃と治安の要点を詳しく解説してご紹介します。

現在、実際にこのマンションで生活している住人たちは、どのような日常を過ごしているのでしょうか。筆者が現地へ足を運び、現住人や過去に居住経験を持つ複数の関係者へ取材を行いました。

都内のIT企業に勤務しながら、通勤時間の短縮を目的に2019年から約1年間居住した30代男性のAさんは、当時の入居理由を次のように振り返ります。

「満員電車に揺られて毎朝1時間近く消耗する生活に耐えられず、『職場の新宿まで歩いて通えるならどこでもいい』という一心で不動産屋に駆け込みました。提示された条件の中で、立地の割に破格だったのがここでした。不動産屋の担当者から『過去にいろいろあった建物ですが、今は普通のマンションですよ』と軽く説明を受け、深く考えずに契約してしまったんです」

実際に住んでみて肌で感じたのは、暴力団の影というよりも「生活リズムの異質さ」と「徹底した無関心」だったといいます。

「昼間は不気味なほど静まり返っています。廊下ですれ違う人もほとんどいません。ところが深夜2時を過ぎると、エレベーターが頻繁に動き出し、香水の匂いやタバコの煙、多国籍な言語が飛び交い始めます。ホストやキャバクラなどの夜職の方、界隈の飲食店で働く外国籍の住人が圧倒的に多く、お互いのプライベートには一切干渉しないという暗黙のルールが徹底されていました。ドア越しに怒鳴り声や物音が聞こえる夜もありましたが、警察沙汰になるような直接的な被害に遭ったことはありません」

エントランスをくぐると、まず圧倒されるのが四方八方に設置された監視カメラの数です。エレベーターホール、各フロアの共用廊下、非常階段に至るまで死角を埋めるようにカメラが睨みを利かせています。かつて抗争対策として導入された厳重なセキュリティ網は、皮肉にも現在の一般住人にとって「不審者の侵入を防ぐ防犯インフラ」として機能している側面があります。

ただし、近隣の治安環境が良好かといえば決してそうではありません。夜間の職安通りや大久保通り沿いは客引きや酔客、立ちんぼ問題など独特の緊張感が漂うエリアであり、女性の一人歩きや治安に敏感な層が平穏に暮らせる住環境とは言い難いのが実情です。