本作を語る上で、インターネット上やSNSでしばしば拡散される誤解が2つあります。
1つ目は、「ビードロ」という道具の呼称に関する混同です。ネット上では「ビードロ=ガラス全体のことだから、ポッペンと呼ぶのが正しい」「ビードロと呼ぶのは誤り」という極端な言説が散見されます。しかし、江戸後期の文献『嬉遊笑覧』などを検証すると、当時から「ビードロ」「ぽぴん」「ぽっぺん」という名称は混用されていました。庶民の間ではオノマトペから「ポッペン」と親しまれ、文字情報としては南蛮渡来の高級素材である「ビードロ」の名が広く使われていたというのが歴史的な真実です。
2つ目は、切手の「見返り美人・ビードロを吹く女」がセットで発行されたという誤認です。両者は日本の記念切手を代表するツートップとして常に並び称されますが、発行年は『見返り美人』が昭和23年(1948年)、『ビードロを吹く女』が昭和30年(1955年)と、7年の開きがあります。切手趣味週間の初期を代表する2大巨頭としてワンセットでアルバム保管されるケースが多いため、同一シリーズとして同時に刷られたと勘違いされがちです。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
「ビードロを吹く女」の切手や復刻版木版画をコレクション・売買するにあたり、編集部が提言するリアルな判断基準は以下の通りです。
【今すぐ購入・保有をおすすめできる人】
・日本のグラフィックデザイン史や江戸風俗カルチャーに深い敬意を抱き、純粋な鑑賞価値を求める人。
・直射日光(紫外線)や湿度を遮断する専用アルバムや額装環境を用意でき、紙ものの美しさを長期的に保全できる人。
・昭和レトロや郵趣の歴史遺産として、極美品シートを文化財的に手元に残したい人。
【手放す、あるいは購入に慎重になるべき人】
・「将来的に何倍にも値上がりする」という投機・キャピタルゲイン目的で切手シートを抱えている人(実需市場の規模を考えると、爆発的な価格高騰を狙う金融資産としては不向きです)。
・自宅のタンスや引き出しに輪ゴムで束ねたまま放置している人(日本の多湿な気候では急速にシミやカビが進行し、買取査定が紙くず同然まで急落する恐れがあります)。