かつて作家と出版社の関係は、絶対的な主従関係に近いものだった。原稿の紛失トラブルに端を発した裁判を経て、雷句誠が選んだのは既存のシステムからの完全な脱却である。自ら著作権を買い戻し、自社レーベル「BIRGDIN BOARD」を設立した決断は、当時の業界においてあまりにも無謀と囁かれた。
だが、その挑戦は見事に結実する。電子書籍の権利を完全掌握し、紙の単行本においては流通を手掛けるクラーケンコミックスとタッグを組むことで、従来の版元に依存しない持続可能なビジネスモデルを構築。中間マージンを削ぎ落とし、作家自身がクオリティコントロールと利益構造を直接管理する手法は、独立を目指す後進のクリエイターたちに絶大な勇気と指針を与えた。