額面の格差以上に深刻なのが、定年後にまで尾を引く「可処分所得(手取り額)」と「公的年金」、そして企業の「退職給付制度」における格差だ。
生涯賃金に5,000万円の開きがあるということは、現役時代に納める厚生年金保険料の総額にも大きな差が生じることを意味する。厚生年金の受給額は「現役時代の平均標準報酬月額×加入月数」に比例して算出されるため、毎月の基本給や賞与が高く設定されている大卒者の方が、老後に受け取る年金額も自動的に高くなる。月額にして数万円単位、65歳から85歳までの20年間で計算すれば数百万円規模の受給差へと直結する。
さらに見逃せないのが退職金だ。厚生労働省の調査によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者における退職金給付額の平均は、高卒正社員が1,000万〜1,200万円程度であるのに対し、大卒・大学院卒正社員は1,800万〜2,000万円規模に達する。現役時の給与差、老後の年金差、そして出口である退職金の差。この3重の構造が組み合わさることで、実質的な生涯格差は額面統計の数字以上に重くのしかかる。