高畑勲展の真髄に迫る!ジブリ巨匠の創作秘話と巡回・グッズ徹底取材

高畑勲展の真髄に迫る!ジブリ巨匠の創作秘話と巡回・グッズ徹底取材

高畑勲展の真髄に迫る!ジブリ巨匠の創作秘話と巡回・グッズ徹底取材の見逃せないポイントを徹底的にカバーしました。

高畑勲展の最大のハイライトは、これまで断片的にしか語られてこなかった「絵を描かないアニメーション演出家」の制作プロセスの可視化です。アニメーション監督といえば作画出身者が主流だった時代に、高畑氏は言語による緻密な指示と論理的な構成力でアニメーション表現を根本から変革しました。

展示室内でひときわ来場者の視線を集めているのが、1988年公開の名作『火垂るの墓』の展示コーナーです。ここでは、作画監督の近藤喜文氏らと作り上げた膨大なレイアウトや色彩指定の資料が一堂に会しています。当時の神戸の街並みや空気感、清太と節子の微細な感情の揺れを表現するため、光の陰影や距離感に至るまで計算し尽くされた指示書は圧巻のひと言。アニメーションを単なる子供向け絵空事から、現実以上のリアリティを放つ映像芸術へと昇華させた現場の生々しい息遣いが伝わってきます。

さらに、高畑監督の遺作となった『かぐや姫の物語』(2013年)の制作秘話に迫るセクションも見逃せません。従来のセル画スタイルを脱し、スケッチ風の描線と水彩調の背景が一体となって動く前代未聞の映像表現は、完成までに足掛け8年の歳月を費やしました。人物造形・作画設計の田辺修氏や美術監督の男鹿和雄氏との間で交わされた試行錯誤のスケッチ群からは、観客の心に直接感情を届けるために極限まで削ぎ落とされた線の力が、いかにして生まれたのかが生々しく解き明かされています。

山本 拓海
Author

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。