2013年1月、日本フィギュア界にひとつの大きなニュースが駆け巡りました。それが高橋成美と木原龍一による「成龍ペア」の結成です。
当時、高橋成美はすでに世界トップクラスのペアスケーターとして名を馳せていました。カナダ出身のマービン・トランと組んだペアで、2012年世界選手権において日本ペア史上初となる銅メダルを獲得。しかし、マービン・トランの国籍問題により、2014年ソチオリンピックへの出場資格を得ることが極めて困難となり、惜しまれつつもペア解消を余儀なくされていました。
ソチ五輪から新設される「フィギュアスケート団体戦」に日本代表として出場するためには、どうしても自国籍同士のペアが必要不可欠でした。そこで白羽の矢が立ったのが、当時シングル選手として全日本ジュニア選手権などで実績を残していた木原龍一でした。高橋成美側からの熱心な打診を受け、木原は男子シングルからペアへの転向という大きな賭けを決断します。
結成からソチ五輪開幕までの猶予はわずか1年。リフトやツイストリフト、スロージャンプといったペア特有の高度な技術をゼロから叩き込む過酷なトレーニングが、米デトロイトの拠点で始まりました。木原の驚異的な身体能力と適応力、そして高橋の卓越したリードによって、結成わずか1年でソチオリンピック日本代表の座を勝ち取り、団体戦5位入賞に大きく貢献したのです。