信用調査大手の帝国データバンクや東京商工リサーチが発表する企業倒産動向のレポートを読み解くと、食文化を彩った一時期の熱狂がいかに脆い地盤の上に成り立っていたかが浮き彫りになる。高級食パンブームの最盛期には、出店すれば即日完売、行列の長さがそのままブランドの価値を示すかのような状況だった。しかし、消費者の関心が急速に離れた途端、過大な初期投資と高い固定費がそのまま牙を剥くこととなった。
ブーム期に急拡大した店舗の多くは、単一の商品ラインナップに頼り切っていた。食パン1本という特化型のビジネスモデルは、需要が旺盛な時期には効率的だが、市場が飽和すると代替案を持たない。顧客が「一度食べれば十分」と満足した瞬間からリピート率の急落が始まり、事業の存続を脅かす事態へと発展したのだ。