なぜ遠野氏は、自らの恥部とも言える壮絶な過去を晒し続けるのか。そこには、同じように家庭内で苦しむ子どもたちや、大人になっても過去のトラウマに苦しむサバイバーたちへの強い思いがある。
「親を愛せない自分は異常なのではないか」「自分が悪いから虐待されたのではないか」――そう罪悪感に苛まれる人々に対し、彼女は身を挺して「あなたは悪くない」「親を嫌ってもいい」と叫び続けてきた。完璧な「悲劇のヒロイン」としてではなく、泥臭く傷つきながらも生きる姿を見せることで、多くの孤立した魂を救ってきた事実は揺るがない。