一口にあずき雑煮と言っても、地域や家庭によってその表情は驚くほど豊かなバリエーションを見せる。
鳥取県東部では、小豆を煮た汁にそのまま丸餅を入れるストレートなスタイルが一般的だ。煮豆の粒感を程よく残した素朴な味わいが愛されている。一方、島根県出雲地方では「出雲ぜんざい」のルーツとも絡み合い、神在月(神有月)の神事に由来する祝食としての性格がより強く押し出される。さらに、一部の沿岸部では昆布出汁をベースにあずきを煮る家庭もあり、甘みの中に深いコクを感じさせる隠し味が継承されている。隣り合う地域でありながら、独自の進化を遂げたディープな世界観がそこにはある。