昭和から平成前期にかけての日本の芸能界には、「二枚目主役=175cm〜180cm以上の高身長」という画一的なステレオタイプが根強く存在していました。しかし、映画表現の進化と国際的な潮流の中で、その固定観念は急速に瓦解しています。
世界の映画史を見渡せば、トム・クルーズ(約170cm)やアル・パチーノ(約170cm)、あるいはブルース・リー(約172cm)のように、決して規格外の長身ではなくとも、スクリーンを完全に支配してきた偉大なスターは枚挙に暇がありません。彼らに共通しているのは、自らの身体構造をミリ単位で把握し、画面内での重心移動やカメラに対する動線計算によって、観客に巨大なスケール感を抱かせる「身体表現のソフトウェア」の卓越性です。
岡田准一が日本のアクション界にもたらした革新は、まさにこの点にあります。高身長の俳優が長い手足を持て余しがちな高速格闘演出において、コンパクトで筋肉が凝縮された肉体は、驚異的な初速とフレーム内に収まる精緻な軌道を描くことを可能にしました。身長という単なるハードウェアの数値を巡る議論を、彼は自らの圧倒的な鍛錬と演技力によって無意味なものへと昇華させています。