2010年11月27日、フジテレビ系『めちゃ×2イケてるッ!』で放送された復帰回は、日本のバラエティ番組史に残る伝説的なエピソードとなりました。
オープニング、日本武道館の特設ステージに設置された段ボールハウス(チビッ子ハウス)の扉が開き、トレードマークのジャージ姿で岡村さんが姿を現した瞬間、共演者やスタッフだけでなく、テレビの前の視聴者からも大歓声が上がりました。憔悴した面影を残しながらも、懸命に笑顔を作り「ご心配をおかけしました」と深々と頭を下げる岡村さんの姿に、メンバーの雛形あきこさんやオアシズの2人は人目を憚らず涙を流しました。
しかし、この感動的な瞬間の裏側で最も過酷な重責を背負い続けていたのが、相方の矢部浩之さんでした。岡村隆史のオールナイトニッポン休養期間中、矢部さんは毎週2時間の深夜生放送をたった一人で背負い続けました。番組内で矢部さんは、岡村さんの病状について決して過剰に悲観的な言葉を使わず、「あいつは今、しっかり休んでるから大丈夫」「戻ってきたらまた怒鳴り合いの喧嘩でもしますよ」と淡々と語り、リスナーに安心感を与え続けました。
復帰に際して矢部さんが岡村さんにかけた「これからは100点じゃなくて、70点でええねん」という言葉は、完璧主義の呪縛に囚われていた岡村さんの心を決定的に救いました。背負い込みすぎる相棒の負荷を分散させ、失敗を許容する余白を作ること。これこそが、矢部浩之の復帰の裏側に存在した最大のファインプレーでした。