ホルモンという呼称について、長年メディアや大衆文化の中で語られてきたのが「大阪弁で捨てるものを意味する『放るもん(ほおるもん)』を料理して出したのが始まり」という説です。しかし、近年の食文化史研究や業界史の公式記録の検証により、この説は後付けで作られた都市伝説的俗説であることが明らかになっています。
歴史的な事実として、大正時代から昭和初期にかけて、生理学・医学用語の「ホルモン(ドイツ語:Hormon、ギリシャ語の『刺激する・呼び覚ます』が語源)」が「生命力を与える活力源・スタミナ物質」として日本国内で大流行しました。1920年代から1930年代にかけて、動物の内臓肉にはビタミンやミネラル、精力増進物質が豊富に含まれていることから、栄養学的な見地やスタミナ料理の宣伝文句として「ホルモン料理」と名付けられたのが公式な発祥です。
当時の一流ホテルの西洋料理店や洋食店で提供された内臓料理のメニューにも「ホルモン」の冠が使用されており、決して「捨てる部位の再利用」から生まれた言葉ではありません。現場の職人たちが培ってきた高度な解体・洗浄技術と、栄養価の高さへの着目が結びついた近代食文化の結晶こそが、ホルモンという名称の真実です。