家に帰ると動悸がする。妻の足音が近づくだけで胃が痛む。そんな切実な訴えが今、増えている。かつて循環器科医の石蔵文信氏が提唱して話題となった「夫源病」は配偶者の言動が原因で心身に不調をきたす病態だが、その矛先が夫側に向かう「妻源病」の深刻度が急速に増しているのだ。
厚生労働省の調査でも職場や家庭内におけるストレス要因の複雑化が示されているが、特に家庭内ストレスは逃げ場がない。日本心身医学会でも報告されるように、慢性的な緊張状態に晒された夫の多くが自律神経失調症を発症し、精神的にも肉体的にも追い詰められていく。家庭が休息の場ではなく、息を潜めて耐える戦場へと変貌してしまう現実がある。