ネット上で人口に膾炙する「悪いことすんなって言ってんじゃないの」というセリフの出処は、2000年4月からTBS系列で放送された連続ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(通称:IWGP)である。放った人物は、池袋を根城にする黄色いギャング集団「G-Boys」を絶対的なカリスマ性で統率する「キング」こと安藤崇(演:窪塚洋介)だ。
このセリフは単体で完結しているわけではない。決定打となる後半部分「ダサいことすんなって言ってんの」とセットで発せられることで、初めてその真価を発揮する。法律や学校教育が説くような「他人に迷惑をかけるな」「法を守れ」という建前をあえて否定し、自分たちの生き様として「格好悪い行為を選ぶな」と迫る逆転のロジックが、当時の若者層に電撃的な衝撃を与えた。
原作である石田衣良の同名小説に登場するタカシは、氷のように冷徹なエリートヤクザ風の美男子として描かれていた。しかし、ドラマ版では脚本家の宮藤官九郎と演出を手掛けた堤幸彦、そして俳優・窪塚洋介の化学反応により、白を基調とした奇抜なファッションに身を包み、トリッキーな喋り口調で場を支配する唯一無二のトリックスターへと再構築された。窪塚が独自の抑揚をつけ、気だるげに放ったこの名ゼリフは、瞬く間にストリートを象徴するパンチラインとなった。